Mac StudioとMacbook Airをベンチマークテストで比較
■Mac Studioの性能をIntel CPU搭載Macbook Airと比較!
Mac Studioを購入しておよそ1ヶ月が経ちました。Macbook Air(intel, 2020)での写真データの現象処理の遅さに耐えかねての買い替えでしたが、実際に使ってみて以前とは比べ物にならないほど快適になりました。では実際どれほど速くなったのか、ベンチマークソフトと実際に私が使っている写真処理ソフト(Adobe Lightroom Classic)を使って比較してみようと思います。
■機器仕様
今回比較するMacbook AirとMac Studioのスペックは以下の通りです。Macbook AirはM1が出る前のIntel CPU搭載の最終モデルです。
- 名称:MacBook Air (Retina, 13-inch, 2020)
- プロセッサ: 1.1GHzクアッドコアIntel Core i5(Turbo Boost使用時最大3.5GHz)
- メモリ:16GB(アップグレード)
- ストレージ:512GB SSD(アップグレード)
- グラフィックス:Intel Iris Plus Graphics
- ディスプレイ:Retinaディスプレイ 2,560 x 1,600ピクセル標準解像度
<Mac Studio>
- 名称:Mac Studio (2022)
- プロセッサ:Apple M1 Maxチップ
- 10コアCPU、24コアGPU、16コアNeural Engine、メディアエンジンを内蔵
- メモリ:32GB(標準)
- ストレージ:1TB(アップグレード)
- グラフィックス:M1 Maxに内蔵(24コアGPU)
- 外部ディスプレイ:Dell 4KディスプレイとHDMI接続
■まずはベンチマークソフトで比較
CINEBENCH R23を使ってMacbook AirとMac Studioの性能を比較してみます。CGの描画性能を計測しますが、基本的にCPU性能を計測するように作られているようです。シングルコア性能とマルチコア性能の両方が計測できます。
<シングルコアの結果>
- Macbook Air(intel, 2020):788
- Mac Stduio(intel, 2022):1524
<マルチコアの結果>
- Macbook Air(intel, 2020):2211(4コア8スレッド)
- Mac Stduio(intel, 2022):12359(10コア)
ベンチマーク結果を見ると、コア単体でも2倍の差がありマルチコアでは5.6倍の差があることが分かりました。これだけでもMac Studioの性能の高さが十分に分かりますね。しかし実際にMac StudioでLightroom Classicを使っていると体感的にはもっと差があるようにも感じます。CINEBENCHでは基本的にCPU性能のみを計測しているためグラフィックス性能やM1MAXに搭載されているNeural Engineの性能などは反映されていないと思われます。
■Lightroom Classicの現象時間を比較
次は実際に普段私が使用している写真処理ソフトのAdobe Lightroom Classic(version 11.5)を使い、実際の利用シーンに合わせてRAWファイルの読み込みから自動補正完了までの時間を計測してみます。
<計測方法>
SDカードに保存されているデジタル一眼レフカメラで撮影した124枚の写真を取り込んだうえで、1:1プレビュー作成、スマートプレビュー作成、レンズ補正や露出などの自動補正を読み込み時に自動適用し、それらが完了するまでの時間をストップウォッチで計測します。読み込む画像の大きさは6016x4000、ファイルサイズはDNG形式で平均32MB程度、124枚合計でおよそ4GB弱です。SDカードの読み込みについて、Mac Studioは本体装備のSDカードスロットを使用できますが、Macbook AirにはSDカードスロットが装備されていないためANKERのUSB Type-C接続のポートプリケーターを使用します。
なお、モニターの画面サイズ(解像度)によって生成されるプレビュー画像のサイズなどが異なり処理完了時間が大幅に変わってきます。このためMacbook Airについては外部ディスプレイ有無の2パターンで比較します。外部ディスプレイは27インチの4Kモニターで解像度は3840x2160です。Mac Studioは常にこの外部ディスプレイに接続しています。
<計測結果>
Macbook Air(intel, 2020)
外部ディスプレイ無し
- SDカードからの読み込み完了:55秒
- スマートプレビュー作成完了:4分30秒
- 1:1プレビュー作成および補正処理完了:14分30秒
外部ディスプレイ有り
- SDカードからの読み込み完了:55秒
- スマートプレビュー作成完了:12分30秒
- 1:1プレビュー作成および補正処理完了:28分30秒
Mac Studio(M1 Max, 2022)
- SDカードからの読み込み完了:40秒
- スマートプレビュー作成完了:1分05秒
- 1:1プレビュー作成および補正処理完了:2分35秒
(注意)計測は手動のため5秒単位での表記としています。
<所感>
Macbook Airが遅すぎるのかMac Studioが速すぎるのか、あまりの違いに唖然としてしまいます。Macbook Airの「外部ディスプレイあり」がMac Studioとの比較条件としてイコールコンディションとなりますが、補正処理完了までの時間はMacbook Airが28分30秒もかかっているのに対してMac Studioは2分35秒で完了しており、Mac StudioはなんとMacbook Airの11分の1の時間で処理が終わるという結果になりました。Macbook Airで「外部ディスプレイ無し」の場合は半分まで時間が短縮されますが、それでもMac Studioのほうが6倍近く高速です。
実際、これまでMacbook Airで作業をしていたときは取り込み時間があまりに長いので、お風呂に入る前や食事に行く前に読み込みボタンを押すといった作業フローにしており、結果として後工程の作業に入るのが遅くなり、翌日もしくは翌週以降に作業がずれたり最悪の場合は面倒くさくなって放っておくといったことになりがちでした。Mac Studioでは数分で読み込みと一括補正が完了するため、取り込み後すぐに写真の選別や個別修正などの後工程の作業に取り掛かることができるようになり、撮影時のモチベーションを持ったまま作業ができるようになりました。写真撮影は自分にとっては趣味の一つですが、Mac Studioの処理が快適すぎて写真撮影のモチベーションが増すという謎の好循環が発生しています。
■Mac Studioのもう一つのメリット:静音性
処理速度以外に感じた顕著な違いは、静音性です。Macbook Airは負荷をかけていない最初のうちは静かなのですが、負荷がかかり始めるとFANが勢い良く周りだしFANのキュイーンという回転音と筐体からの排気音が「うるさい」と感じるレベルで聞こえます。また発熱も多くホッカイロか湯たんぽか!と思うほど熱を持ってくるので、そのままの状態で使い続けるのが心配になります。一方Mac StudioはCINEBENCHで思い切り負荷をかけても普段と変わらずサーっという背面からの排気音が少し聞こえるだけで静かなままです。本体が熱を帯びている様子もなく、クールなヤツです。
■まとめ
Macbook Air(intel, 2020)とMac Studio(M1 Max, 2022)の性能をベンチマーソフトと写真処理ソフトを使って検証しました。両者の違いは圧倒的で、体感で感じていたMac Studioの速さが数字面でも確認できました。
- CINEBENCH R23ではマルチコア性能でMac Studioが5.6倍速い
- LightroomのRaw現象速度はMac Studioが最大11倍速い(11分の1の処理時間)
- Mac Studioは負荷がかかっても静か
■(参考)CINEBENCH R23ベンチマーク結果のスクリーンショット