levo_lifeの日記

レヴォーグとドライブについて語るブログ

Bose Soundbar 900を購入したのでレビューしてみる

Bose Soundbar 900

4月に自宅のリビングルームサウンドバーを買い換えたのですが、これがとても素晴らしいのでレビュー記事を書いてみます。

Bose Smart Soundbar 900(SB900)というモデルで、2022年3月に発売された最新モデルです。

 

SB900はメーカーの直販サイト価格で119,900円(税込)となっており、サウンドバーとしては高額の部類に入ります。購入を迷われている方も多いと思いますので、音質面を中心になるべく詳細にレビューしてみようと思います。

SB900のオプションとして用意されているBass Module 700、Surround Speakerも導入していますので、それらを組み合わせた場合の音の変化やお勧め度合いもご紹介します。

 

なお、我が家では前モデルのSoundbar 700(SB700)も保有しております。SB700をお持ちの方で買い替えを検討している方の参考にもなると思います。

 

【デザイン】

 Soundtouch 300から続くBoseらしいデザインで個人的には気に入っています。

継ぎ目のないパンチングメタルのグリルで正面・左右が覆われているため非常に高級感があります。このグリルが背面側まで回り込んでいることが重要で、イイモノ感とカッコよさをアップさせていると思います。

ガラストップも高級感があり気に入ってます。ガラストップにTV画面が映り込むのが嫌という方もいるようですが、我が家の場合はWALLのTVスタンド使っているため映り込みが気になることはありません。

 

【高音の音質】

こもり感の一切ない非常に綺麗で伸びやかな中高音が出ます。ボーカルの明瞭さは前モデルSB700譲りですが、SB700は高音の伸びとクリアさがあと1歩という印象で、特に音楽再生時に不満を感じることがありました。本機では音全体のクリアさが増しており、映画だけでなく音楽再生にも好適です。

センターのツイーターが中高音を担当しているためボーカルの定位はしっかりしており、サウンドバーの前にステージがあって、そこでボーカルが歌っているような臨場感があります。

またAtmosイネーブリング用のHeightスピーカー(上向きスピーカー)も音場の拡大と臨場感のアップに重要な役割を果たしているように思います。Heightスピーカーはサウンドバー両端に真上を向く形で埋め込まれていますが、2chソースでも5.1chソースでも自動的にアップミックスしてHeightスピーカーからも音が出るようになっています。

これが音場を高さ方向に広げる役割を果たし、サウンドバーからではなくTVから音がでているような感覚、もしくはTVの前にステージがあってそこでボーカルが歌っているような感覚を生んでいます。SB700ではどうしても高さ5cmほどの箱から音がでている印象が否めず、小さなスピーカーから出てくる窮屈な音という感覚があったのですが、本製品ではそのような窮屈さが全くありません。

 

一方で、Heightスピーカーの音量をあげても音が上から降ってくるという感覚はあまりありません。他社製品の場合、一般的にHeight用のイネーブルドスピーカーは前方に向かって斜め上向きに取り付けられていると思いますが、このSB900は真上方向に取り付けられているためか、天井に当たって跳ね返った音が上から降ってくるという感じがあまりしません。その代わり、正面向きの通常スピーカーと一体となって音場全体を高さ方向にも拡げるように働いていると感じます。

 

またSB900には左右方向のサラウンド効果を狙った指向性スピーカーが両サイドに搭載されていて、左右斜め方向に放射された音が壁に当たって跳ね返ることでサラウンド効果を得る仕組みになっています。おそらく、四角形や長方形の部屋であれば想定通りに機能するのだと思いますが、我が家のリビングの形状が特殊な形をしていることもあり、跳ね返った音を耳の横や後ろから感じることはほとんどありません。

それでも音場を横方向に拡げる役割は果たしており、縦方向のHeightスピーカーと横方向の指向性スピーカーの相乗効果により、サウンドバーの大きさを超えた音場が作られていると感じることができます。

 

【低音の音質】

SB900単体ではウーファーやサブウーファーは搭載されておらず、バーの中央、ツイーターの脇に設置されたフルレンジスピーカーの音がBose独自の共鳴菅を通って低音成分が増強され、背面に設置されたダクトから放出される仕組みです。ウーファーはありませんが、低音がスカスカということは全くなく、単体で使っても問題はないです。どんなソースでも無理やり低音を増強してくるという作りにはなっておらず、ソースに含まれる低音成分に応じてナチュラルに音を出してくれるという印象です。低音成分が多いソースの場合は、その分しっかりとした低音が再生されます。このあたりの音作りの方向性については、昔のBoseとは少し変わってきているのかも知れません。

 

我が家ではBassModule700をSB700を使っていた頃に導入しており、これをそのままキャリーオーバーしてSB900とも組み合わせています。

BassModule700があったほうが良いのはもちろんですが、値段が本体に匹敵するほどの価格(9万円くらい)であることを考えると、コストパフォーマンスという観点では評価が分かれるかもしれません。

SB700の時は、BassModuleを増設することで低域担当と中高音担当での役割分担ができるためか、サウンド全体の明瞭度があがり音質が向上するような印象がありましたが、SB900では単体での音質が向上しているためか、BassModuleを増設することによる音質向上効果はSB700ほどには感じません。またBassModuleを増設したとしても、基本的には上述した「音源に含まれる低音成分に応じて、必要な分の低音が出る」性質は変わらないため、低音が無理やり増強されるということにもなりません。

 

ではBassModuleはどういうときに価値を発揮するかというと「サウンドバー単体では出せない超低音域が音源(ソース)に含まれている場合」と言えます。

SB900単体では60Hzあたりから音圧が減衰し50Hz近辺から下は大幅に弱くなるため、50Hz以下の音がソースに含まれていても事実上再生できません。つまり、ソースには音が入っているのに聞くことができない、ということになります。

通常のTVやPOP音楽等では低音成分は例えばバスドラムの音が入っているとして80Hz-120Hzくらいであることが多いと思いますので、そのようなソースを再生するだけであればBassModuleがなくても、入っているはずの音がならないということは起こりません。少し軽い鳴り方にはなりますが、重低音を感じることができます。(カラダに響くような音ではないです)

 

一方、映画やクラシック音楽等では50Hz以下の低音が含まれていることも多々あり、こうしたソースを再生した場合、BassModuleの有無で聞こえてくる音自体が全く違うものになってしまうことがあります。例えば映画の「ハリーポッター」シリーズは、おどろおどろしい雰囲気を演出するため30Hz近辺の超低音域までブルーレイディスクに収録されているシーンがあるのですが、Bass Moduleがない場合はこの超低音域を再生できないため、非常に軽い音楽が流れているように聞こえてしまいます。Bass Moduleを設置すると、今までは聞こえていなかったおどろおどろしいサウンドを感じることができるようになります。

 

音楽の話に戻します。通常のPOPミュージック等に入っている低音は80Hz-120Hzくらいが多いと書きましたが、80Hz以下がカットされているわけではなく、もっと下の周波数まで音の信号自体は含まれています。80Hzより下の周波数帯まで余裕を持って鳴らせることで、出てくる音に重みや厚みが出る効果もあります。

言葉で表現するなら、SB900単体でのバスドラムの音が「パスッ」という少し軽めの音であるのに対してBassModuleありの音は「バスッ」という重い音に変化します。

 

【サラウンドスピーカーの音質】

SB900のオプションで用意されているSurround Speakerを追加すると完全なサラウンド環境が実現でき音場・音質ともに大幅にグレードアップします。

映画は勿論最高なのですが、音楽再生でも大きな効果があります。

特にApple MusicやAmazon Music Unlimitedで用意されている「空間オーディオ」を再生するとこれまで経験したことのない音楽体験が出来ます。

空間オーディオとは、Atmos形式で収録された楽曲のことです。(Amazon Primeの場合は360 Reality Audio形式のものもありますが、ここでは言及しません)

 

SB900単体で空間オーディオを再生した場合でも、通常の2chソースの楽曲と比べて音場が広大になり包まれ感が増してきます。これでも十分満足できる音楽体験ではあるのですが、Surround Speakerを導入すると、文字通り音楽体験の次元が変わり3次元の音楽体験ができます。

SB700やSB900単体との比較で表現するとこんな感じです。

 

・SB700単体での通常音楽再生:1次元→横方向のみの広がり(高さ方向が全くなく、狭い音場)

・SB900単体での通常音楽再生:2次元 → 横+高さ方向への広がり

・SB900単体での空間オーディオ再生:2.5次元 →横+高さの音場拡大+前方方向での奥行き感が少し

・SB900+Surround Speakerでの空間オーディオ再生:横+高さ+奥行きの3次元立体空間

 

 

SB900+Surround Speakerの構成で空間オーディオを再生すると、部屋全体が音に包まれている、もしくは部屋全体がスピーカーになってしまったのではと思うほどの凄まじいサラウンド感(包まれ感)を感じます。これこそがまさにBoseの言うダイレクト/リフレクティング理論の体現なのかも知れません。

また、そのように音に包まれながらも、楽器やボーカルが三次元の座標上に厚みを持って定位してくるので、立体感とリアリティを感じることができます。このような体験はSB900単体では得られず、Surround Speakerを導入することで初めて得られる体験です。

 

基本的に洋楽と相性が良くPOP、R&B、Jazzやダンスミュージック等が良く合うと思います。またBass Moduleもある場合は空間オーディオのクラシック音楽を再生しても素晴らしいです。ボリュームを抑えれば高級ホテルのラウンジのように、ボリュームを上げればコンサートホールになります(個人の感想です!)。

 

【補足】

本題とずれるので今回は詳細な説明は控えますが、AirPlay2ではAtmosフォーマットを飛ばせないため、iPhone/iPadからAirPlay2経由で空間オーディオを再生することはできません。このため我が家ではApple TV 4K+ かをTV経由でARC接続でSB900に接続して再生しています。

正確に言うとApple TV4K+でAtmosを再生するにはeARCが必須のため、ARC接続の場合はDolby 5.1chにダウンコンバートされてしまうのですが、SB900は5.1ch音源をHight方向も含めてアップミックスしてくれるため、リアルAtmosほどではないにせよ上述のような素晴らしいサラウンドを提供してくれます。